【GPレポート】びわ湖ホール コミック・オペラ《ミカド》

 8月26、27日、新国立劇場でギルバート&サリヴァンのコミック・オペラ《ミカド》が上演される。同劇場が平成17年度から行っている“現代舞台芸術に関する地域交流”事業「地域招聘公演」としてびわ湖ホールが上演する。指揮は園田隆一郎、演出・訳詞は中村敬一。
 これに先立ち、去る8月3日、びわ湖ホールで行われた「びわ湖ホール オペラへの招待(8月5、6日)」公演のゲネプロ(最終総稽古)を取材した。
(2017.8.3 びわ湖ホール(中) Photo&Movie:M.Terashi/TokyoMDE)

 《ミカド》は、19世紀末のロンドンで大人気を誇ったウィリアム・ギルバート(台本)とアーサー・サリヴァン(作曲)のコンビによる代表的な作品。主としてサヴォイ劇場で上演されたことから「サヴォイ・オペラ」と呼ばれている彼らの作品は現代ミュージカルの元祖とも言われている。
 当時ヨーロッパで流行したジャポニスム(日本趣味)に触発された本作は、ロンドンでロングヒットとなり世界中で頻繁に上演されるようになるが、日本を揶揄した作品とみられていた日本国内ではこれまであまり上演されてこなかった。しかし、はるか遠い日本の地「ティティプー(秩父のことであろうといわれている)」を舞台にしながらその実、当時の英国社会の上流階級や支配階級に対する辛辣な風刺を含んでいる。

 今回演出と訳詞を担当した中村敬一は設定を現代の日本に置き換え、「外国人が思い描く日本」をテーマに「外国人がWEBで日本ツアーの観光ガイドを見ているような風景」を舞台に表出した。ストリートミュージシャンやJK(女子高生)も登場する。
 
 「ここ、びわ湖ホールでもワーグナーなど重いオペラをやっていますが、たまにはこういう作品があってもいい。純粋にみんなが楽しめるオペラがあっていいと思うんです」
 ゲネプロを終え開口一番、中村はこう語る。

 衣裳もオーソドックスな日本のものでなく、外国人がイメージするもの(日本人から見たら正式なものでなかったり、着付ができていなかったり)にし、ミカドの衣裳には和服の素材を使いつつ、イギリス発の作品であることに敬意を払いエリザベスカラーをあしらったりもしている。

 本公演は日本語訳詞で上演される。
「たくさん出てくる風刺については当時と現代で意味がわかりづらいところもあり、それらは現代でも意味が通じるように配慮した」という歌詞と台詞は、現代の日本人がおもわずクスッとしてしまうような内容もあり、わかりやすく、美しい。日本語字幕も適宜映し出されるが、日本語歌唱を得意とするびわ湖ホール声楽アンサンブルだけあってそれほど字幕に頼ることはない。
 なお、字幕には日本語だけでなく英語も映し出される。英語字幕はギルバートの台本がそのまま使われている。

舞台上部に映し出される英語字幕

◆あらすじと詳細はこちらへ

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【第1幕】

ナンキプー(二塚直紀)

ピシュタッシュ(五島真澄) ナンキプー(二塚直紀)

プーバー(竹内直紀 )

ココ(迎 肇聡)

ピープボー(藤村江李奈) ヤムヤム(飯嶋幸子) ピッティシング(山際きみ佳)

ココ(迎 肇聡) プーバー(竹内直紀 ) ピシュタッシュ(五島真澄) 

【第2幕】

ピープボー(藤村江李奈) ヤムヤム(飯嶋幸子) ピッティシング(山際きみ佳)

ナンキプー(二塚直紀) ヤムヤム(飯嶋幸子) ピッティシング(山際きみ佳) ピープボー(藤村江李奈) ピシュタッシュ(五島真澄) 

カティーシャ(吉川秋穂) ミカド(松森 治)

ミカド(松森 治)

◆サリヴァン/コミック・オペラ《ミカド》より、第1幕〈リスト・ソング(ココ)〉、第2幕〈お日さま輝き 辺りを照らす(ヤムヤム)〉〜マドリガル

◆びわ湖ホール オペラへの招待
サリヴァン/コミック・オペラ《ミカド》
2017年8/5(土)14:00、8/6(日)14:00 びわ湖ホール(中)

◆平成29年度 新国立劇場 地域招聘オペラ公演 びわ湖ホールサリヴァン/コミック・オペラ《ミカド》
(全2幕・日本語上演/日本語・英語字幕付 予定上演時間:約2時間30分(休憩含む))
2017年8/26(土)16:00、8/27(日)14:00 新国立劇場(中)

指揮:園田隆一郎
演出・訳詞:中村敬一

美術:増田寿子
照明:山本英明
衣裳:下斗米雪子
振付:佐藤ミツル
音響:押谷征仁(滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール)
舞台監督:牧野 優(滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール)

出演:びわ湖ホール声楽アンサンブル
ミカド:松森 治 *
ナンキプー:二塚直紀 *
ココ:迎 肇聡 *
プーバー:竹内直紀 *
ピシュタッシュ:五島真澄
ヤムヤム:飯嶋幸子
ピッティシング:山際きみ佳
ピープボー:藤村江李奈
カティーシャ:吉川秋穂
貴族・市民:
河出綾子**、奈良絵里加**、南さゆり**、糀谷栄里子**、溝越美詩、益田早織、
川野貴之、島影聖人、増田貴寛、内山建人、宮城島 康、浦野裕毅**

* びわ湖ホール声楽アンサンブル・ソロ登録メンバー
**客演

管弦楽:日本センチュリー交響楽団