映像で楽しむヴェルディの極上の舞台
パルマ王立歌劇場は、イタリア・オペラファンならぜひ訪れてみたい劇場だ。200年近い歴史を誇る山吹色の美しい劇場は、耳の肥えたファンが集まることでも知られる。彼らが愛してやまないのがヴェルディのオペラ。近郊で生まれ育ったヴェルディの「故郷」を自負するパルマでは、彼の誕生月である10月に「ヴェルディ・フェスティバル」が開催され、「Viva Verdi!(ヴェルディ万歳!)」のかけ声をかけようと待ち構えるファンの熱気が劇場に溢れる。
生誕200年のアニバーサリーイヤーだった2013年、この「ヴェルディ・フェスティバル」での上演を中心に、ヴェルディの全オペラが映像化され、大きな話題となった。このたび、そのハイライトがアンコール上映されることになったのは嬉しい限りである。演目は、初期の《ナブッコ》から後期の《アイーダ》までオペラ7作に、「レクイエム」を加えた計8作。
至高のヴェルディ・バリトン、レオ・ヌッチの至芸に酔える《ナブッコ》《マクベス》《リゴレット》(リゴレットのアンコールシーンは必見!)、歌手が揃って声のバトルが楽しめる《イル・トロヴァトーレ》、現代を代表するヴェルディ・テノール、フランチェスコ・メーリの美声が映える《仮面舞踏会》など、魅力的な演目が並ぶ。伝統美を前面に押し出した演出は、ファンの期待通りの美しさだ。バロック時代の円形劇場であるファルネーゼ宮殿で収録された「レクイエム」も味わい深い。
イタリアの伝統的な劇場の豪華で親密な空間で繰り広げられる、ヴェルディ・オペラの醍醐味。客席にみなぎる独特の熱気ともども、堪能したい。
文:加藤浩子
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年12月号から)
12/17(木)〜12/19(土) イタリア文化会館 アニェッリホール
問:樂画会チケットデスク0120-954-618
※上映時間などの詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
http://gakugakai.com