ベン・キム(ピアノ)

挑戦的な選曲に聴く俊英の深化

 アメリカ生まれのベン・キムは、なかなか1位を出さないという厳しさでも有名なミュンヘン国際音楽コンクールで2006年に優勝し、世界的に注目を集めたピアニスト。ショパンを中心に幅広いレパートリーを持つ彼は現在、活動の拠点をベルリンに移しており、ヨーロッパ、アメリカ、アジアで着実にキャリアを重ねている。
 09年からは日本でもたびたびリサイタルを行い、既にファンも多い彼が、今年も浜離宮朝日ホールでリサイタルを開く。今回はキムの十八番であるドビュッシー「喜びの島」をはじめ、スクリャービンのソナタ第5番、ブラームスのソナタ第3番など、音楽性と技巧とが試される作品を軸に、ヤナーチェクやジェフスキーといったまだ日本ではメジャーとはいえないレパートリーが並ぶ挑戦的なプログラム。音楽に対する深い洞察力、高い知性と温かい人柄を感じさせるキムの演奏を様々な作品の演奏を通して楽しめる、またとない機会となるはずだ。
文:長井進之介
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年11月号から)

12/1(火)19:00 浜離宮朝日ホール
問:コンサートイマジン03-3235-3777
http://www.concert.co.jp