レナード衛藤『真夏の夜のブレンドラムス』

様々なコラボレーションで独自の世界を創出

 パーカッションは人間の根源的な部分に訴えかけてくる。なかでも和太鼓はその強さ、多彩さ、そして演奏する姿の美しさで、世界的にも人気が高い。ニューヨーク生まれのレナード衛藤は和太鼓集団「鼓童」で活躍後、独立して活動を続け、50を超える国々で演奏を重ねてきた。ボブ・ディランやボン・ジョヴィといったミュージシャンはもちろん、フランスのマルセイユ国立バレエ団やクラシック・バレエの名花ニーナ・アナニアシヴィリなど、ダンサーとの共演も多い。
 衛藤は、強さだけではなく、豊かに変幻するスタイルが人気だ。近年は打楽器を中心に据えつつ、さらに様々なアーティストとコラボレートする「ブレンドラムス」で、独自の演奏世界を創り出しているのだ。
 今回の『真夏の夜のブレンドラムス』では、ひときわ魅力的な面々が揃った。まずは、フランスのマルセイユ国立バレエ団のソリスト及び振付家としても活躍しているベテラン・ダンサー遠藤康行。クラシックからコンテンポラリーまで表現の幅は広い。さらにもう一人、タップダンスからは、日本が誇るHIDEBOHのリズムタップを身に付けた浦上雄次が参加。強さと繊細さのタップが魅力である。そして鬼才ギタリストの鬼怒無月は、ロックから民族音楽までこなす実力の持ち主だ。
 本作は、日本の伝統芸能を中心にした多彩な文化が集められる「大和田夏祭り」の一環。じつにアツい一夜になりそうである。
文:乗越たかお
(ぶらあぼ + Danza inside 2015年7月号から) 

8/4(火)19:00 渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール
問:渋谷区文化総合センター大和田03-3464-3252 
http://www.shibu-cul.jp