カザルス弦楽四重奏団

巨匠の意志を受け継ぐクァルテット


 近代的なチェロ奏法を確立する一方、音楽を通じての平和運動に尽力したパブロ・カザルス。その名のみならず、音楽の魂も受け継ぎ、スペインが生んだ国際的な名声を得た初のクァルテットとなったのがカザルス弦楽四重奏団だ。ヴァイオリンのアベル、チェロのアルナウのトマス兄弟を中心として、1997年にマドリッドで設立。2002年にドイツ・ハンブルクで開かれたブラームス国際弦楽四重奏コンクールを皮切りに、数々の国際コンクールを制した。以後はトップ・アンサンブルとして、欧米はもとより、アジアなど世界を股にかけて活躍。日本での演奏を「人間が言葉を交わさずとも、いかに深く対話できるかの証明」と特に重要視している。今回は、モーツァルトの第19番「不協和音」をはじめ、リゲティの第1番「夜の変容」、ブラームスの第1番と、性格をまったく異にする3つの佳品を披露。さらに、かつてカザルスが平和への思いを託し、世界各地で弾いた「鳥の歌」を添える(神奈川公演を除く)。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2014年5月号から)

★5月24日(土)・愛知/武豊町民会館ゆめたろうプラザ響ホール(0569-74-1211)
   25日(日)・豊田市コンサートホール(0565-35-8200)
   26日(月)・横浜市鶴見区民文化センターサルビアホール(045-511-5711)
   27日(火)・Hakuju Hall(メロス・アーツ・マネジメント03-3358-9005)