作曲家・ピアニストの加古隆が結成、10周年を迎えたピアノ四重奏団「加古隆クァルテット」。第3弾アルバムでは、代表作品のひとつ、NHKスペシャル『映像の世紀』の音楽から編んだ組曲を取り上げた。加古にとっては、技巧を凝らした曲を書くのは、訳もないはず。だが、ドキュメント映像の音楽とあって、ミニマル的な手法も採り入れ、あえてシンプルに。なればこそ、旋律の美しさが逆に際立つ。また、管弦楽から室内楽へと編成が変容したことで、繊細な側面が浮き彫りに。弦楽奏者たちは、時にノン・ヴィブラートで硬質な響きを求めるなど、変幻自在の創意で彩りを与える。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2021年7月号より)
【information】
CD『QUARTET Ⅲ 組曲「映像の世紀」/加古隆クァルテット』
加古隆:組曲「映像の世紀」、花は始めも終りもよろし、アヴェ・マリア〜聖なるもの、母なるもの〜
加古隆クァルテット
【加古隆(ピアノ) 相川麻里子(ヴァイオリン) 南かおり(ヴィオラ) 植木昭雄(チェロ)】
エイベックス・クラシックス
AVCL-84119 ¥3300(税込)