「君の音はブラームスに似合う」。ベルリンおよびザルツブルク留学時代の師匠ジャック・ルヴィエよりその一言をかけられた三原未紗子。果たしてその言葉通り、彼女の演奏は2019年ヨハネス・ブラームス国際コンクールピアノ部門第1位に輝いた。本作『Neue Bahnen(新しい道)』はそんな三原のデビュー盤。ソナタ第3番は重厚さと輝かしさを兼ね備えたタッチで、構築力ある作品の世界を丹念に描き出す。「2つのラプソディ」は抑制の効いたバランス感覚で、スケールの大きな音楽作りを実現する。誠実な解釈によってブラームスの魅力を存分に伝える一枚。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2021年6月号より)
【information】
SACD『ブラームス Neue Bahnen/三原未紗子』
ブラームス:ピアノ・ソナタ第3番、子守唄(A.コルトー編)、2つのラプソディ、ワルツ第15番
三原未紗子(ピアノ)
オクタヴィア・レコード
OVCT-00182 ¥3520(税込)