新国立劇場《ヴォツェック》稽古レポートvol.1

4月5日から新国立劇場で上演されるアルバン・ベルクのオペラ《ヴォツェック》(バイエルン州立歌劇場との共同制作)の稽古場を取材しました。
(2014.3.31 新国立劇場オペラパレス Photo:M.Terashi /TokyoMDE)

●《ヴォツェック》とは?
19世紀ドイツの重要な劇作家ビューヒナーの戯曲をもとに、上演時間約1時間40分という短い時間に凝縮されたベルクの音楽は、無調でありながら時に美しく、20世紀の最高傑作とも言われています。

理髪師から兵士になったヴォツェックは、貧しい生活を強いられ、小銭を稼ぐため軍医の人体実験になっていた。そのため錯乱状態に陥り、幻覚を見ては妄想に苛まれていた。妻マリーが鼓手長と不倫していると知ったヴォツェックは、マリーの首にナイフを突き刺す・・・

こう書くと、なんだか救いようのない、暗澹たるものを想像されるかもしれませんが、このオペラは、現代社会にも通じる、「病的な精神世界」を描いた、極めて「演劇的」な作品で、その普遍性ゆえ、人々の心を捕らえてはなさず、繰り返し上演され続けています。

●レポート
この日の稽古は、それまでの地下リハーサル室からオペラパレスに移動し、実際の舞台セットで第3幕が通しで行われました。

ステージ上では、通し稽古を前に、入念なリハーサルが続けられています。
再演演出のバーバラ・ウェーバーさん(右)が、子どもたちに稽古をつけます。
この演出で、ひょっとすると一番重要な役を演じる、マリーの子供役の池袋遙輝くん。マリーの子供は、今回の演出では、ほぼ全編にわたり舞台に登場します。こちらも通しを前に場当たり中。
稽古の合間にエレーナ・ツィトコーワさんと何やら話すゲオルク・ニグルさんのTシャツには何と!「ジークフリートの冒険」の文字が!
今回の演出では舞台上に張られた大量の「水」が特徴的。新国立劇場のオペラではこれまでに《トリスタンとイゾルデ》《オテロ》でも大量の水が使われましたが、今回は20トンもの水を使います。その水はどこから運んでいるかというと・・・劇場裏手にある搬入口に巨大なホースの固まりが・・・
舞台に張られた水は定期的に入れ替え、また、上演中に濡れたり汚れたりするため、舞台袖にはこんなものまで常備されています!
通し稽古が始まりました。通常オペラの稽古ピアノは1台の場合が多いのですが、ヴォツェックの音楽はピアノで演奏するにはとても難しいため、今回は2台で演奏します。

【第3幕第1場】
マリーの小部屋。

DSC_1134sマリー (エレーナ・ツィトコーワ)
「神様!あたしを見ないで! この子を見ると胸が衝かれる」

【第3幕第2場】
池の散歩道。

マリーとヴォツェック(ゲオルク・ニグル)があらわれる。
ヴォツェックがマリーを刺す。

【場面転換】
調子の狂ったピアノが舞台上を駆け回り、ヴォツェックがそれにあわせ踊り始める。

【第3幕第3場】
居酒屋。

ヴォツェックは妻を殺した恐怖を取り除こうと、隣人のマルグレート(山下牧子)と踊り狂う。
マルグレート
「おお、いやだ!人間の血の匂いがする!」
ヴォツェック
「俺が人殺しだって?」
若者達
「血だ、血だ、血だ、血だ・・・!」

【第3幕第4場】
ヴォツェック
「ナイフはどこへ行った? ナイフが俺をばらすんだ! あった!これだ。 沈んでしまえ! ・・・ああ!俺は血で体を洗っているんだ! 」
大尉(ヴォルフガング・シュミット)と医者(妻屋秀和)が池を通り過ぎるが、何も気づかない・・・
ヴォツェックに腰掛けあたりを見回すマリーの子供

【第3幕第5場】
子どもたちがマリーの子供に「お前の母さん、死んじゃったよ」と言いながら、いっせいに石を投げつける。
マリーの子供
「ホップ!ホップ!ホップ!ホップ!ホップ!ホップ!」

◆2013/2014シーズン
アルバン・ベルク/オペラ《ヴォツェック》
Wozzeck/Alban Berg
全3幕〈ドイツ語上演/日本語字幕付〉

2014年4月5日(土)14:00 4月8日(火)19:00 4月11日(金)14:00 4月13日(日)14:00
新国立劇場 オペラパレス
予定上演時間:約1時間40分(休憩なし)

■指揮:ギュンター・ノイホルト
■演出:アンドレアス・クリーゲンブルク

■キャスト
【ヴォツェック】
ゲオルク・ニグル
【鼓手長】ローマン・サドニック
【アンドレス】望月哲也
【大尉】ヴォルフガング・シュミット
【医者】妻屋秀和
【第一の徒弟職人】大澤建
【第二の徒弟職人】萩原潤
【白痴】青地英幸
【マリー】エレナ・ツィトコーワ
【マリーの子供】池袋遥輝
【マルグレート】山下牧子

合唱:新国立劇場合唱団
児童合唱:NHK東京児童合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

[共同制作]バイエルン州立歌劇場

■チケット
S 23,760円 A 19,440円 B 12,960円 C 7,560円 D 4,320円 Z 1,620円
新国立劇場ボックスオフィス
03-5352-9999
http://www.nntt.jac.go.jp/opera/performance/140405_001608.html
ローソンチケット Lコード:32008

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●新国立劇場〜エレナ・ツィトコーワ「ヴォツェック」マリー役への意気込みを語る

2013/2014 Season New production
Wozzeck
April 2014 5-13

Music by Alban Berg
Opera in 3 acts
Sung in German with Japanese supertitles
Opera Palace

Conductor Günter Neuhold
Production Andreas Kriegenburg

■Cast

Wozzeck Georg Nigl
Tambourmajor Roman Sadnik
Andres Mochizuki Tetsuya
Hauptmann Wolfgang Schmidt
Doktor Tsumaya Hidekazu
1. Handwerksbursch Osawa Ken
2. Handwerksbursch Hagiwara Jun
Der Narr Aochi Hideyuki
Marie Elena Zhidkova
Margret Yamashita Makiko

Chorus New National Theatre Chorus
Children Chorus NHK Tokyo children chorus
Orchestra Tokyo Philharmonic Orchestra

The New National Theatre, Tokyo
Box Office
+81-3-5352-9999 (10:00 am-6:00 pm, English available)

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