古典四重奏団 「音楽が見える!」 第27回&第28回

モーツァルト、ベートーヴェンの熟達の筆致をひもとく

左より:花崎淳生、田崎瑞博、川原千真、三輪真樹
(C)F.Fujimoto

 古典四重奏団による名シリーズ「音楽が見える!」は、演奏とともに当日のプログラムについての本質的なレクチャーが行われることもあり、“弦楽四重奏曲初心者”にも大好評である。このたびの同シリーズは比較的短いスパンで2回開催される予定で、4月28日の第27回はテーマ作曲家をモーツァルトとし、その「ハイドン四重奏曲集」(いわゆるハイドン・セット)の中から6曲中で特異とも形容されるK.464(第18番)が演奏される。表面的には極めて優美でありながら、対位法や有機的な構成の妙など、モーツァルトの作曲技巧の粋が惜しげもなく盛り込まれた本作。それゆえ熱心なファンには人気が高いが、演奏とレクチャー両面で古典四重奏団の面々がその辺りをどうフォローしてくれるのか興味は尽きない(後半はラヴェルの四重奏曲。「優美」繋がり?)。

 そして、続く7月2日の第28回ではベートーヴェンが取り上げられる。いわゆる「後期」に突入した記念碑的な第12番、そしてその前には、第13番より、初演時に長大・難解と指摘された「大フーガ」の代わりに第6楽章として作曲されたフィナーレが演奏される。

 クラシック・ファンの中においても弦楽四重奏曲は敷居が高くマニア向けと思われている節もあるが、このシリーズはその面白さ、奥深さをたっぷりと味わわせてくれる。なお、両コンサートとも昼夜の2回公演が行われるが、夜公演にはレクチャーがないので要注意。
文:藤原 聡
(ぶらあぼ2021年4月号より)

第27回《モーツァルトは一日にして成らず~その5》 
2021.4/28(水)
第28回《ベートーヴェン後期の幕開け》 
2021.7/2(金)
各日14:30 19:20 和光大学ポプリホール鶴川
問:ビーフラット・ミュージックプロデュース03-6908-8977 
https://www.bflat-mp.com
※レクチャーは昼公演のみ