バロックと現代を行き来し映し出す音楽の現在・過去・未来
ザハール・ブロンやサシュコ・ガヴリーロフといった名匠に師事し、今年はミュンヘン放送管弦楽団のコンサートマスターにも就任した滝千春。東京オペラシティの名物企画「B→C」で披露するプログラムは、これまで作編曲を自ら依頼したり、作曲家から作品を献呈されたりと、新しいレパートリーを積極的に開拓してきた彼女ならではの内容で必聴だ。
テーマはヴァイオリンの「進化とサイクル」。長い歴史のなかで生じた“変化”と“不変”さをバラエティ豊かに聴かせる。例えば、柿沼唯、バッハ、ビーバー「パッサカリア」では無伴奏・祈りという観点が共通し(静謐さという観点ではシャリーノも入る)、D.P.ジョーンズ、コリリアーノ、アンタイル、木山光、ビーバー「チャコーナ」では打楽器的な要素が強調される(ジャズ作曲家・挾間美帆の書き下ろし新作も楽しみだ)。より時代ごとに追求されてきたヴァイオリンの多様な魅力にも気づける一夜となること間違いない。
文:小室敬幸
(ぶらあぼ2021年4月号より)
*新型コロナウイルス感染症に係る入国制限により、共演者のエルンスト・ビーア(ドラムス)が来日できなくなったため、代わって橋本現輝が出演いたします。
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
2021.4/20(火)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール
問:東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999
https://www.operacity.jp