第506回日経ミューズサロン コロンえりか ソプラノ・リサイタル

多才なアーティストが紡ぐ、いのちのうた

 いくつもの「顔」を持つ、異色の存在のアーティスト。南米ベネズエラ生まれで、両親はベルギー人と日本人。聖心女子大学卒業後、英国王立音楽院で学んだ。ソプラノ歌手として、たとえば2020年秋シーズンの大きな話題となった野田秀樹演出の《フィガロの結婚》で、バルバリーナをちょっと妖艶に演じて鮮やかなインパクトを残す一方、エル・システマジャパンや、聴覚障がいを持つ子どもたちのための手話コーラスの活動を主導して音楽と社会をつなぐ。さらにはなんと駐日ベネズエラ大使夫人として両国の外交に貢献。私生活では4児の母でもある。

 今回は「いのち」をテーマに、自然や愛を詠んだ優しい歌を歌う。ハイドン、モーツァルトからフランスのカントルーブ、イギリスのクィルター、さらには〈この道〉〈故郷〉などおなじみの日本歌曲も。彼女がライフワークとして歌い続ける〈被爆のマリアに捧げる賛歌〉は、父である作曲家エリック・コロンの作品だ。ピアノは山田武彦。
文:宮本 明
(ぶらあぼ2021年2月号より)

2021.2/16(火)18:30 日経ホール
問:日経公演事務局03-5227-4227
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