【SACD】シューマン&メンデルスゾーン/横坂源&加藤洋之

 流麗な美しさと心の内を垣間見せるような淡い哀感が胸を打つ、ドイツ・ロマン派の2大家の名作集。演奏活動20周年を経て、円熟の域に入りつつある若きチェロの名匠、横坂源は、実在感と温もりにあふれる音色で作品の内奥に迫り、実に味わい深い好演を実現した。内省的な陰をもつシューマンの小品はもちろんのこと、華麗かつ爽快なメンデルスゾーンの名ソナタも凛々しく濃密な表現で、その魅力を味わわせてくれる。同ソナタのピアノは超絶技巧が要求される難曲だが、さらりと繊細に弾きこなす加藤洋之の技量にも感嘆。2020年秋の録音で聴く「歌の翼に」が涙腺を刺激する。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2021年2月号より)

【information】
SACD『シューマン&メンデルスゾーン/横坂源&加藤洋之』

シューマン:幻想小曲集op.73、アダージョとアレグロ/メンデルスゾーン:チェロ・ソナタ第2番、歌の翼に

横坂源(チェロ)
加藤洋之(ピアノ)

オクタヴィア・レコード
OVCL-00746 ¥3200+税