東京・春・音楽祭 2021 概要発表


 東京・上野を舞台にしたクラシック音楽の祭典「東京・春・音楽祭 2021」が、3月19日から約1ヶ月にわたり開催される。2005年にスタートした同音楽祭は、コンサートホールや美術館などの文化施設が集まる上野を拠点に、国内外の一流アーティストによるオペラ、オーケストラ、室内楽など様々な演奏会が開催される国内最大級の音楽祭。20年はコロナ禍の影響を受け多くのプログラムが延期・中止となってしまったが、第17回目を迎える21年は、感染症対策を徹底し、万全の体制で開催に挑む。
 今回は音楽祭初の試みとして、全プログラムのライブ・ストリーミング配信を実施(一部を除く、有料)。これまで音楽祭に参加したことがない人や東京の会場に来られない場合も、自分の都合に合わせて気軽に音楽祭に参加することができそうだ。

イタリア・オペラ・アカデミー in 東京(2019.03.30 リハーサルより)
(c)東京・春・音楽祭実行委員会/青柳 聡

 プログラムは、20年に開催が予定されていたが延期となってしまった公演も含め、例年と同規模での開催が予定されている。《パルジファル》を上演する「東京春祭ワーグナー・シリーズ」には、マレク・ヤノフスキ指揮NHK交響楽団が登場。巨匠リッカルド・ムーティによる「イタリア・オペラ・アカデミー in 東京」は、前回延期となったヴェルディの《マクベス》が題材。レクチャーや作品解説が行われるほか、日本の若手演奏家で構成される東京春祭オーケストラとムーティが共演する演奏会にも注目だ。また、「東京春祭プッチーニ・シリーズ」に登場する読売日本交響楽団のほか、ブルーノ=レオナルド・ゲルバー、オリ・ムストネン、デジュー・ラーンキ、ベルリン・フィルのメンバー、川口成彦、郷古廉、児玉桃、白井圭、永野英樹、安田謙一郎ら、国内外の一流アーティストたちが出演を予定している。
東京春祭ワーグナー・シリーズ(2019.04.05《さまよえるオランダ人》)
(c)東京・春・音楽祭実行委員会/青柳 聡

 さらに、アンドレアス・シャーガー、エギルス・シリンス、クリスティアン・ゲルハーヘル、マルクス・アイヒェら世界の歌劇場で活躍する歌手たちが登場する「歌曲シリーズ」や、バッハやストラヴィンスキーなどの作曲家に焦点をあてたシリーズ、「マラソン・コンサート」など、人気シリーズも健在。公演の開催を楽しみにしていた多くの音楽ファンには待望の、充実したプログラムだ。同音楽祭恒例の、美術館・博物館とコラボレーションした「ミュージアム・コンサート」や人気の子ども向けプログラム「東京春祭 for Kids」、都内の様々な場所で気軽に楽しめる無料コンサート「桜の街の音楽会」も実施予定。
 20年の春は、多くのイベントが自粛となり、外出さえ難しい状況であった。21年の東京・春・音楽祭では、満開の桜とともに豪華なラインナップの公演を、それぞれの楽しみ方で満喫したい。進化を続ける音楽祭の開催に期待が高まる。

【Information】
2021.3/19(金)〜4/23(金)
東京文化会館、東京藝術大学奏楽堂(大学構内)、旧東京音楽学校奏楽堂、上野学園 石橋メモリアルホール 他
https://www.tokyo-harusai.com
※各公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。