12月のN響は、シェフ・ルイージがシェーンベルクとリストをテーマに

左より:ファビオ・ルイージ ©NHKSO/クリスティアーネ・カルク ©Gisela Schenker/ジェームズ・マッコークル

 12月のNHK交響楽団は、首席指揮者ファビオ・ルイージが9月に続いて登場。NHKホールで行われる2つの定期公演では、それぞれシェーンベルクとリストに焦点を当てた意欲的なプログラムを披露する。

 Aプログラムは、「シェーンベルク生誕150年」と銘打ち、シェーンベルクが新しい音楽技法に至った背景を浮かび上がらせる趣向だ。まず、ワーグナーの楽劇《トリスタンとイゾルデ》から「前奏曲と愛の死」で、調性が曖昧になっていく様子を描く。それに続くのは、オペラとリートの両輪で活躍中のクリスティアーネ・カルクを迎えてのリヒャルト・シュトラウスの歌曲集。熟れに熟れたロマンティシズムを香り立たせてくれよう。

 そして、シェーンベルクの交響詩「ペレアスとメリザンド」。後期ロマン派のサウンドをベースとしながらも、作曲家の新しい挑戦をふんだんに盛り込んだ作品だ。ルイージ持ち前のカンタービレを交えた鮮烈な官能美に期待したい。

 Cプログラムでは、ゲーテの戯曲にインスパイアされたリスト作品をフィーチャー。交響詩「タッソー」はヴェネツィアの船頭の歌を主題に、悲劇から勝利までを描く。後半は、終楽章後半にテノール独唱(ジェームズ・マッコークル)と男声合唱(東京オペラシンガーズ)が加わる「ファウスト交響曲」が登場。ルイージの本領発揮といえる大曲だ。旋律を心地よく歌わせつつも、巧みな響きの構築で圧倒させてくれること間違いない。
文:鈴木淳史
(ぶらあぼ2024年11月号より)

【出演者変更】
Cプログラムに出演を予定していたテノールのジェームズ・マッコークルは、本人の都合により来日できなくなりました。
代わりましてクリストファー・ヴェントリスが出演します。
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。(10/22主催者発表)

ファビオ・ルイージ(指揮) NHK交響楽団
第2025回 定期公演 Aプログラム

11/30(土)18:00、12/1(日)14:00 NHKホール
第2027回 定期公演 Cプログラム
12/13(金)19:00、12/14(土)14:00 NHKホール
問 N響ガイド0570-02-9502 

https://www.nhkso.or.jp