小林道夫・津留崎直紀のベートーヴェン

楽聖の傑作に名匠二人が対峙する

 メモリアル・イヤーにふさわしい、快演が期待できよう。フランスの名門・リヨン国立歌劇場管弦楽団に30年にわたって在籍した後、ソリストに転じたチェロの津留崎直紀。歴史的鍵盤楽器とピアノの名手・小林道夫の共演を得て、3つのソナタをはじめ、生誕250年を迎えたベートーヴェンのチェロとピアノのための傑作に対峙する。

 東京藝大からパリ国立高等音楽院を首席で卒業、リヨン国立歌劇場管弦楽団で活躍してきたが、「ソロと作曲活動に専念したい」と2011年に退団した津留崎。彼が「青二才だった私に、数多くの示唆を与えてくれた」と言う小林とは、14年以来、大バッハのヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタなどで共演を重ねてきた。

 今回は、“チェロの旧約聖書”とされるバッハの無伴奏組曲に対し、“新約聖書”にもたとえられる、ベートーヴェンのチェロ・ソナタ全5曲から第1〜3番を軸に、「ヘンデル〈見よ勇者は帰る〉の主題による12の変奏曲」をあわせて弾く。二人の名匠だからこそ紡ぎ出せる、滋味あふれる調べに身を浸したい。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2020年10月号より)

2020.10/27(火)19:00 札幌コンサートホール Kitara(小)
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2020.11/5(木)19:00 王子ホール
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