文京シビックホール20周年記念公演 オーケストラ・アンサンブル金沢 in Bunkyo

OEKと名手たちが華やかに彩るホールのアニヴァーサリー


 文京シビックホールが文京区の音楽文化の中核施設としてオープンして、早くも20年が過ぎた。交通の便に加え、吹奏楽や合唱などどんなタイプの音楽にもしっくりとなじむ音響の良さから、地域の顔としてだけでなく首都圏の拠点としての重要性も増している。

 10月のアニヴァーサリー公演には、北陸の雄オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)が登場する。石川県立音楽堂を拠点に精鋭を集めたこの室内オーケストラは、現在、フランスの名匠マルク・ミンコフスキを芸術監督に戴いているが、若手の起用にも積極的で時代の先を読む眼力がうかがえる。

 本公演を指揮するのは原田慶太楼。ここ数年国内でも評価を上げ、来春からは東京交響楽団の正指揮者に就任するが、そのキャリアは規格外れだ。アメリカ、ロシアなど、これだと思った先に自ら飛び込む行動力で聴き手の心をつかむ独自のスタイルを培ったが、現今の音楽界の困難な状況下でこの力が一層の注目を浴びている。今回はメンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」、「夏の夜の夢」よりスケルツォというノリのよい選曲で、この人のセンスを知るには格好のプログラムだ。

 ソリストには二人のベテランが起用される。今年デビュー45周年を迎えるヴァイオリンの大谷康子は、ヴィヴァルディの「四季」より春、冬で生き生きとした弓の芸を披露。ショパン弾きとして名実ともに日本を代表する横山幸雄は、ロマンティックなピアノ協奏曲第2番を取り上げる。原田がOEKとともに二人の持ち味をどう演出するかというあたりも興味深い。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2020年10月号より)

2020.10/25(日)15:00 文京シビックホール
問:シビックチケット03-5803-1111 
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