巣ごもり生活でライヴのエキスが足らない人に絶好の処方箋だ。グラズノフはラザレフが精力的に紹介してきたこともあって、近年、日本でも理解が深まっている。その素朴で抒情的な旋律は私たちの心にもまっすぐに入ってくるが、第4、5番はとりわけ美しいメロディー、躍動感のあるリズムで明るくポジティヴなメッセージを内包する。ラザレフ&日フィルは丁寧に作りこみ、艶やかな音色、深い呼吸、パンチの効いたサウンドで曲の精神を伸びやかに届けてくれる。シンコペーションで盛り上がるフィナーレの後の、聴衆の熱狂も収録。演奏会再開まで待ちきれない人には、とりあえずこれがお薦め!
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2020年7月号より)
【information】
SACD『グラズノフ:交響曲第4番&第5番/ラザレフ&日本フィル』
グラズノフ:交響曲第4番・第5番
アレクサンドル・ラザレフ(指揮)
日本フィルハーモニー交響楽団
収録:2016年11月&2017年10月、サントリーホール(ライヴ)
オクタヴィア・レコード
OVCL-00724 ¥3200+税