ポール・メイエ (クラリネット)

もっとも美しい、2つの五重奏曲をお届けします

(c)Vandoren Edith Held

(c)Vandoren Edith Held

 弱冠13歳でデビュー以来、世界の一流楽団や巨匠と共に名演を重ね、今や「現在最高のクラリネット奏者」と目されるポール・メイエ。そして、ヴァイオリンの豊嶋泰嗣と矢部達哉、ヴィオラの川本嘉子、チェロの上村昇という我が国の名手で構成されたアルティ弦楽四重奏団。彼らがタッグを組み、モーツァルトとブラームス、2つのクラリネット五重奏の佳品を紡ぎ上げる。「素晴らしいメンバーと演奏する、傑作中の傑作。とても楽しみです」とメイエも期待を膨らませている。
「今回のステージでは、伝統的な名曲を演奏しようと考えました。そして、2曲に絞るのであれば、この組み合わせがとても贅沢で、バランスも最高でしょう。自信を持って、『最も美しい、2つの五重奏曲だ』と申し上げられます。まさに、クラリネットのための楽曲の粋ですね」と、高揚感に満ちて語るメイエ。「しかし、2曲はまるで異なります。ブラームスの作品は小造りで、空間的にも小さな場での演奏を意識し、より“室内楽的”。曲想もやや懐古的で、他の楽器との間で“受け応え”をする構造です。これに対し、モーツァルトは、もう少し“コンチェルト寄り”というか、クラリネットが前面に出ていると思います」と解説する。
 アルティ弦楽四重奏団のメンバーとは、すでに何度かの共演経験があると言う。
「川本さんとは10年ほど前から、ルチアーノ・ベリオの作品などを一緒に演奏していますし、豊嶋さんや矢部さんとも何度か…。日本の演奏家は素晴らしい。アンサンブルというものをとてもよく理解していらっしゃいますよね。彼らと共に、重要な作品を演奏できるなんて、本当に貴重な機会だと思っています」
 そして、「室内楽は、心の最も繊細な箇所に触れてくる音楽です。演奏する時には、メンバーの間にお互いの言葉を聞き合うような親密な空気が生まれますが、その雰囲気はとても良いものですよ」と醍醐味を語った。
 メイエは、フランスにありながら歴史的な背景からドイツ文化にもアイデンティティを持つアルザス地方の出身。
「私自身が“2つの文化”を持っているため、他国の文化に抵抗がないのでしょう。日本の皆さんはドイツの音楽がお好きですが、そんな微妙な文化的配合が、今の自分の“日本びいき”の秘密かも。一方で、フランスも日本も、長い自国の文化の歴史を誇る国。音楽だけでなく、美術や絵画など視覚芸術の分野でも、お互い伝統というものを理解しています。似ているのですよね、きっと…」と自ら分析。最後に「ぜひ皆さん、私たちの演奏を聴きにいらして下さい。会場でお目にかかりましょう」と締め括った。
構成・文:寺西 肇
(ぶらあぼ2013年12月号から)

★12月11日(水)・文京シビックホール
問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp
他公演 12/6(金)・加東/やしろ国際学習塾、12/7(土)・京都府立府民ホール アルティ、12/8(日)・杜のホールはしもと、12/10(火)・水戸/佐川文庫、12/13(金)・武蔵野市民文化会館(クラリネット無伴奏)、12/14(土)・入善コスモホール(共演:クァルテット・エクセルシオ) 
総合問合:ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040