【CD】パッサカリア/荻野由美子

 1975年の開館時、日本の公共ホールとして初めてパイプオルガンの設置へ踏み切った神奈川県民ホール。以後、この動きは全国へ広がったが、先達として、多彩な企画を実施し、我が国でのオルガン音楽の普及に果たした功績は大きい。同ホールの開館45周年記念盤。2011年から10年間、アドヴァイザーを務めた荻野由美子が、独ヨハネス・クライス社の銘器を操り、大バッハとラインベルガー、2つの「パッサカリア」を大枠に、古今の佳品を弾いた。様式感を的確に捉える好演と、変幻自在なレジストレーション。時空を超えた音楽の旅は、オルガンの魅力と多彩さ、奥深さを教えてくれる。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2020年6月号より)

【information】
CD『パッサカリア/荻野由美子』

J.S.バッハ:パッサカリア BWV582、コラール変奏曲「汝、明るき日なるキリスト」BWV766、フーガ ト短調 BWV578/メンデルスゾーン:ソナタ第2番/ヒンデミット:ソナタ第2番/ブラームス:11のコラール前奏曲より〈我が心は喜び踊る〉〈装え、我が愛する魂よ〉/ラインベルガー:ソナタ第8番より〈パッサカリア〉

荻野由美子(オルガン)

コジマ録音
ALCD-9206 ¥2800+税