【CD】中南米を音楽で旅する〜アルゼンチン・キューバ・ブラジル作品集/原山智子

 ロシアン・ピアニズムを学びつつ、中南米のクラシック音楽にも定評のあるピアニストによるCD第2弾。前作で高評価を得たキューバのレクオーナ作品からは、カリビアンと黒人それぞれの民族的リズムを持った2曲。“ブラジルのショパン”とも称されるナザレの作品からも情熱に溢れた祝祭的な3曲を用意。一方で人気のピアソラ作品はドラマティックでありながら、祈りにも似た厳かな雰囲気で聴かせ、特に甘美な〈アヴェ・マリア〉が胸に迫る。その弟子でもあった、同じブエノス・アイレス出身のヒナステラの「12のアメリカ大陸風前奏曲」は汎アメリカ的な壮大さで楽しめる。
文:東端哲也
(ぶらあぼ2020年5月号より)

【information】
CD『中南米を音楽で旅する〜アルゼンチン・キューバ・ブラジル作品集/原山智子』

ピアソラ:天使のミロンガ、天使の死、天使の復活、アディオス・ノニーノ、アヴェ・マリア(佐々木睦編)/レクオーナ:ハバネラ、黒人ラプソディ/ナザレ:嵐のような口づけ、滑りながら、大騒ぎ/ヒナステラ:12のアメリカ大陸風前奏曲、ミロンガ

原山智子(ピアノ)

Beltàレコード
YZBL-1065 ¥2500+税