transit Vol.13 ジュスタン・テイラー(チェンバロ) 〜ゴルトベルク変奏曲〜

欧州の古楽シーンで注目を集める若手筆頭格が初来日

C)Jean Baptiste Millot

 今をときめく俊英奏者と、鍵盤作品の最高峰。幸せな邂逅の瞬間に、ぜひ立ち会いたい。2015年、23歳の若さでブルージュ国際古楽コンクールで優勝を果たし、一躍脚光を浴びたフランスのチェンバリスト、ジュスタン・テイラーが初来日。若い才能や未知のアーティストを紹介する、王子ホールの人気シリーズ「transit」に登場する。

 フランス西部アンジェ出身。チェンバロをオリヴィエ・ボーモンらに、ピアノをロジェ・ムラロに師事。ブルージュでは、聴衆賞と2つの特別賞も獲得した。アンサンブル「ル・コンソート」のメンバーでもあり、17年にはロワール国際古楽コンクールで優勝。録音にも積極的で、18年には、伊バロック期のドメニコ・スカルラッティと、現代ハンガリーのリゲティの作品を取り上げたアルバムを発表。時空を超えて2人の作曲家を共鳴させる意欲的な試みを行い、大きな反響を呼んだ。

 まるで溢れ出るような音楽性と、それを余さず受け止める確かな技巧。そして他の誰よりも、音楽にのめり込み、愉しもうとする姿勢。彼の指先から紡ぎ出される調べは、第一音から、聴く者をたちまち魅了してしまう。そんなテイラーが、日本でのデビュー・コンサートの題材に選んだのが「ゴルトベルク変奏曲」。多くの鍵盤楽器奏者が“終わりのない旅”と深遠さを形容する傑作を、俊英はあえて“出発点”へ置いた。果たして、アリアと30の変奏に、どのように鮮烈な色彩を施してゆくのか。
文:笹田和人
(ぶらあぼ2020年5月号より)

*新型コロナウィルス感染症の感染拡大を考慮し、本公演は延期となりました。(5/8主催者発表)
振替公演の詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。

2020.6/4(木)19:00 王子ホール
問:王子ホールチケットセンター03-3567-9990 
https://www.ojihall.jp