本山乃弘 ピアノリサイタル —情動との対峙—

音楽を心の支えとし、真摯に向き合う

C)Bozzo
 審査員に世界的演奏家が名を連ね、海外からの参加者も増加し、その知名度とレベルの高さを、回を重ねるごとに高める東京音楽コンクール。副賞として開催される入賞者リサイタルもその演奏のクオリティの高さとプログラミングの妙で高い評判を得ている。今回の出演者は第12回で第3位に入賞した本山乃弘。大学在学中にフォーカル・ジストニアを右手に発症し、一時演奏活動に制限がかかったものの、それを見事に克服。名匠アルド・チッコリーニに認められ、国内外で多くのオーケストラと共演し、音楽祭にも出演するなど幅広い活動を展開している。

 今回のリサイタルは、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ「悲愴」と第18番に、ラヴェル、ショパン、そしてスクリャービン「幻想」ソナタと幅広い内容の楽曲を盛り込み、研ぎ澄まされた技巧と豊かな音楽性をアピールする内容。逆境にくじけることなく自らの音楽に対峙し続けた本山が奏でるピアノは、深く心を打つものとなるだろう。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2020年3月号より)


*新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、本公演は延期となりました。(2/28主催者発表)
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。

2020.3/8(日)14:00 東京文化会館(小)
問:プロアルテムジケ03-3943-6677
https://www.proarte.jp