シャノン・リー(ヴァイオリン)

仙台国際音楽コンクール最高位の若き才能が放つ煌めく響き

C)仙台国際音楽コンクール事務局
 シャノン・リーは、昨年、エリーザベト王妃国際音楽コンクール第4位を経て第7回仙台国際音楽コンクール ヴァイオリン部門で最高位(第2位)を獲得。協奏曲を中心とした課題曲が設定され、コンサートマスターとしての技量も試されるという特色のあるコンクールで快挙を成し遂げた大型の才能が、6月に浜離宮朝日ホールでその輝きを見せてくれる。

「ずっとオーケストラと演奏したかったバルトークのヴァイオリン協奏曲第2番など、好きな作品が課題曲に含まれていたり、コンサートマスターの審査もあることにとても興味を持ち受験しました。全ラウンドでの演奏がピアノ伴奏ではなくオーケストラや室内楽との共演だったのも特徴的ですね」

 リーは、セミファイナルでバルトークの協奏曲を演奏し、審査委員、聴衆を熱狂させたが、リサイタルでもバルトークのソナタ第2番をとりあげる。また、彼女はイザイの作品にも強い思い入れがあるという。実際、インディアナポリス国際ヴァイオリンコンクールでイザイの無伴奏ソナタのベストパフォーマンス賞を受賞しているほど。今回の受賞記念リサイタルでも、第5番のソナタを演奏する。
「イザイのソナタは全6曲それぞれ違うヴァイオリニストに献呈され、各ソナタが全く違うカラーを持っていますが、特に第5番第1楽章の“夜明け”のイマジネーションを表現するために、新たなテクニックが生み出されています。最後の方など、弦が何十本もあるかのようです」

 第7回の“目玉”の一つとも言える、セミファイナルでのコンサートマスターとしての技量を試される審査も、彼女は大いに楽しんだという。
「オーケストラでの演奏経験はありますが、やはりコンサートマスターは特別。ソロパートもあり、オーケストラ全体を牽引する力も必要です。それらを同時にできる能力を試されることに、プレッシャーはありましたが、その分のやりがいも感じました。やはりオーケストラで演奏するというのは魅力的ですから」

 今回の受賞記念リサイタルではこのほかブラームスに加え、エルンスト、武満徹と、多様な作曲家の名前が並ぶ。コロンビア大学でコンピュータ科学の学士号も取得している異色の経歴をもつ彼女らしい多彩なプログラムだ。

「今後はソロに室内楽、そして教えることにもチャレンジしたいと思っていますが、まだまだたくさんのことを学ばなければなりません。あらゆる作品に取り組み、技術も音楽性も磨いていきたいです。今回のプログラムはレコーディングの予定もあります。大切に演奏し続けていきたい作品ばかりです」
取材・文:長井進之介
(ぶらあぼ2020年3月号より)

第7回仙台国際音楽コンクール最高位受賞記念 シャノン・リー ヴァイオリンリサイタル
2020.6/19(金)19:00 浜離宮朝日ホール
問:朝日ホール・チケットセンター03-3267-9990 
https://www.asahi-hall.jp/hamarikyu/

6/21(日)14:00 日立システムズホール仙台 コンサートホール
問:仙台市市民文化事業団 総務課022-727-1875 
http://www.bunka.city.sendai.jp

他公演(仙台フィルとの共演)*中止
3/6(金)、3/7(土)日立システムズホール仙台 コンサートホール(仙台フィルサービス022-225-3934)