ベテランと次世代の熱い競演
四半世紀を超える活動で、いまや日本の室内楽界を牽引する存在となった、クァルテット・エクセルシオ。「弦楽四重奏の花が豊かに咲き誇ることを目指し、育て、種を広く撒いていきたい」との思いから、彼らが将来性を見込んだ次世代クァルテットとのジョイント・コンサートを、昨年に続いて開催する。
今年の共演は、結成6年目を迎えるタレイア・クァルテット。2014年東京藝術大学在学時に結成、内外のコンクールでもすでに成果を挙げ続けていて、近現代作品を中心にしなやかにして真摯な音楽作りで期待されている。昨年はNHK音楽番組『ららら♪クラシック』の弦楽四重奏の回に出演し、女性4人の可憐な雰囲気とともに、ラヴェルの繊細な音色にこだわる練習風景と鮮やかな演奏で評判になったのも記憶に新しい。
コンサートは、「エクセルシオ」がドヴォルザーク第12番「アメリカ」を。言わずと知れた名作中の名作で、弾きこんできた熟練の技を見せる。「タレイア」はヤナーチェク第2番「ないしょの手紙」を。独特の妖しい魅力に満ちた傑作にして難曲だが、彼女たちの特徴を発揮するレパートリーであり、意欲的な快演を期待したい。ジョイントの作品は、1817年生まれのデンマークの作曲家ニルス・ガーデ(ゲーゼ)の八重奏曲。親しかったメンデルスゾーンの同編成の傑作のような爽やかなロマン、細かい音の動きの楽しさ、そこに加わる北欧の空気感など、愛すべき作品である。ベテランと俊才たちの共演がどんな種を撒き、何を生み出すのか、楽しみなステージとなる。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2020年3月号より)
*新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、本公演は延期となりました。(3/10主催者発表)
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
2020.3/15(日)14:00 第一生命ホール
問:トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702
http://www.triton-arts.net