最新ホログラム技術で甦るディーヴァの姿
未だ多くの謎に包まれた、53歳の早すぎる死から42年余り…。遺された絶頂期の録音からすでに60年以上を経てもなお、オペラ・ファンの心を捉えて離さない歌姫マリア・カラス。幅広い音域とそれを自在に操ることのできるテクニックと音楽的な知性、加えて美しい舞台姿に女優としての完璧な演技力まで備えていた不世出のソプラノ。その波瀾に満ちたライフ&アートはこれまでにも幾度となく劇場やテレビでドラマ化され、舞台や記録映像を集めたドキュメンタリーも公開されるなどして、その伝説はもはや出尽くしたかに思えたが、何と今年5月、東京のステージにDIVAが再臨する!
これはカラスの過去のステージ映像を最先端の3Dホログラム技術とレーザー・テクノロジーで特殊なスクリーンに投影し、まるで生きているかのような立体的な映像を映し出して、臨場感たっぷりに生演奏のオーケストラと共演させるというもの。すでに2018年末から欧米や中南米各地でツアーを成功させてきた夢の企画が、ついにここ日本でも実現する(演奏:アイミアー・ヌーン指揮 東京フィルハーモニー交響楽団)。
ホログラムといってもその歌唱はすべてオリジナル音源を使用するので、昨年末『NHK紅白歌合戦』を賑わせたAIによる美空ひばりとは決定的に違う。演奏曲目もビゼーの《カルメン》やヴェルディの《マクベス》、プッチーニの《トスカ》、ベッリーニの《ノルマ》など、いずれも極めつけアリアばかりなので期待が高まる。ここからまた新しい何かが始まる予感!
文:東端哲也
(ぶらあぼ2020年3月号より)
*新型コロナウイルスの感染症の拡大防止の観点から、本公演は中止となりました。(4/10主催者発表)
詳細は下記ウェブサイトでご確認ください。
2020.5/16(土)、5/17(日)各日14:00 Bunkamura オーチャードホール
問:チケットスペース03-3234-9999
https://avex.jp/classics/mariacallas2020/