ニコライ・アレクセーエフ(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団

本場の名匠が紡ぐ真正ロシア音楽の醍醐味


 これは真正ロシアの響きを期待できるコンサートだ。この2月、ニコライ・アレクセーエフが新日本フィルの定期演奏会に登場する。1982年カラヤン指揮者コンクール優勝等の受賞歴をもつ彼は、2000年からサンクトペテルブルグ・フィルの指揮者(副芸術監督)を務める一方、エストニア国立響の音楽監督、コンセルトヘボウ管等の著名楽団への客演でも実績をあげている。また18年にはサンクトペテルブルグ・フィルの来日公演を急遽指揮して好評を博し、今年4月の同楽団来日公演では芸術監督テミルカーノフと指揮台を分け合うことになっている。

 新日本フィルには2002年、08年に客演し、ショスタコーヴィチの交響曲第7番、第11番等で迫力満点の快演を展開。久々登場の今回は、円熟味を加えた今の彼と、上岡敏之のもとで精緻さを増している同楽団とのコラボで、いかなる音楽が生み出されるのか? 大いに注目される。演目はまずチャイコフスキーの勇壮な名曲「スラヴ行進曲」。ここは正攻法の進軍を期待したい。おつぎはソロ・コンサートマスターの崔文洙がソロを弾くショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番。実力者の崔が本場の名匠の指揮で奏でる難曲にも熱視線が注がれる。そして同じく交響曲第6番。順に加速する3楽章構成の本作は、誰もが聴きやすく、特に第3楽章はエキサイト必至だ。生演奏の少ない曲ゆえ、同作曲家に実績あるコンビで体験できるこの機会は逃せない。

 アレクセーエフは、古き良きロシアのテイストを爽やかに聴かせるのが魅力。ここは本流のサウンドと音楽にたっぷりと浸りたい。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2020年2月号より)

第616回 定期演奏会 ジェイド〈サントリーホール・シリーズ〉
2020.2/15(土)14:00 サントリーホール
問:新日本フィル・チケットボックス03-5610-3815 
https://www.njp.or.jp