モナ・飛鳥(ピアノ)

ベートーヴェン・イヤーにドイツの名門オケと「皇帝」に挑む

©Marie Staggat

 ドイツと日本にルーツをもち、ドイツの伝統を受け継ぎながら、独自の感性が光る演奏で活躍中のピアニスト、モナ・飛鳥。来年3月にはミュンヘン交響楽団と共に日本ツアーを行い、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」を各地で披露する。彼女はミュンヘンを拠点としており、この楽団との日本公演をことのほか喜んでいる。

「地元のすばらしいオーケストラで、最も共演経験の多い楽団のひとつでもあります。メンバーには友人もいますし、オープンな雰囲気が魅力です。私は協奏曲でもアイコンタクトを取りながら弾くのが好きで、ミュンヘン響となら“大きな室内楽”のような親密な演奏ができます」

 今回のツアーは世界的な名ヴァイオリニスト、ジュリアン・ラクリンが指揮を務めることも注目されている。彼女は初共演となるが、この機会が楽しみでならないようだ。

「ラクリンさんはもちろん経験豊かですばらしい音楽家ですし、今回は指揮者としての共演からどんな相乗効果が生まれて、自分たちの演奏が日々どう変化していくのか…毎回が素敵な体験になりそうで本当にワクワクします」

 どんなテーマの話でも笑顔でポジティブさを忘れない彼女。ピアニストになる過程で、個性や自主性を引き出す環境に恵まれたという。

「2歳でピアノをはじめ、物心ついたときにはすでに『私はピアニスト』と考えていました。9歳からモーツァルテウム音楽院でカール=ハインツ・ケマリング先生のレッスンで、ベートーヴェンをはじめ多くのことを教わりました。先生と他の生徒との話し合いの場では、歴史や政治のことまで年上の方と同じように意見を求められました。大変でしたが、その頃から必死にいろいろ学んで自分の意見を言えるようになった経験は、いま本当に役に立っています。また、私の母親はピアノの先生でしたが、よく『練習ばかりしてないで出かけなさい』と言われたものです(笑)。友達と会ったり様々な体験をして、視野を広げて感受性を深めることを重視していたんですね」

 彼女は毎年日本で過ごす期間を作り、ドイツで育ちながらも日本語を万全に操れるように勉強を継続しているとのこと。

「私にとって日本は“第2のふるさと”です。どの会場も環境や体制がすばらしいし、お客様もわざわざ公演後に並んで声をかけてくださいます。愛する日本で、ホームタウンのオーケストラとの共演でベートーヴェンを披露できることは、ふたつのふるさとを繋げる最高の機会でもあります」

 日本酒とお寿司をこよなく愛しているというモナ・飛鳥。彼女の深い思いが詰まった「皇帝」は聴き逃がせない。
取材・文:林 昌英
(ぶらあぼ2019年12月号より)

ミュンヘン交響楽団(共演:モナ・飛鳥)
2020.3/15(日)14:00 横浜みなとみらいホール
3/18(水)19:00 東京オペラシティ コンサートホール
問:テンポプリモ03-3524-1221 
https://tempoprimo.co.jp/
※全国公演の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。

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