現代を代表するアメリカのピアニスト、ピーター・ゼルキン氏が2月1日、ニューヨークの自宅にて膵臓がんのため死去した。72歳。
1947年生まれ。大ピアニスト、ルドルフ・ゼルキンを父に持ち、母方の祖父も往年の名ヴァイオリニスト、アドルフ・ブッシュという音楽一家に生まれたゼルキンは、父とミエチスラフ・ホルショフスキにピアノを学び、59年、ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団と共演しデビューを飾った。以後、小澤征爾、ピエール・ブーレーズら世界的指揮者との共演を重ねた。ソリストとしても活躍する一方で、リチャード・ストルツマンらとメシアンの「世の終わりのための四重奏曲」の演奏を目的として結成した室内楽集団「タッシ TASHI」での活動も話題を呼んだ。レパートリーは幅広く、バッハから20、21世紀の作品まで手がけ、武満徹からも厚い信頼を寄せられていた。75年以来たびたび来日し、2017年には広島交響楽団「平和の夕べ」コンサートにも参加した。