【CD】J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第2集/三膳知枝

 例えば、第1番ハ長調の前奏曲の冒頭、2小節余にわたるC音のオルゲルプンクト。ズーンと底鳴りさせ、可能な限り響きを持続するのがチェンバロで弾く際の常で、モダン・ピアノならより容易くできるはずだが、三膳知枝はあえてそうしない。大事な上声が、かき消されてしまうからだ。常に鮮烈なアプローチに挑む実力派が、「第1集」の録音から2年を経て対峙した「平均律クラヴィーア曲集 第2集」。常に「モダン・ピアノならどう聴こえるか」を考え、各フレーズ、前奏曲とフーガ、24曲の関係性を精査。説得力に満ちた、しかし彼女にしか実現し得ぬ響きの世界を現出させた。
文:寺西 肇
(ぶらあぼ2019年12月号より)

【information】
CD『J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第2集/三膳知枝』

J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集 第2集

三膳知枝(ピアノ)

コジマ録音
ALCD-9201,9202(2枚組) ¥3400+税

  • La Valseの最新記事もチェック

    • ジャズとクラシックのハネムーン| クラシック・ファンのためのJazz入門 第5回
      on 2019/12/13 at 01:00

      text:藤本史昭 ところで、ジャズとクラシックは相反する音楽…そういう印象を持っている方は、実は少なくないのではないでしょうか。かくいう僕も、「その相反するものも、実はこんなにうまく混淆してますよ」ということを言いたいがためにこの連載を始めたわけで、つまりは自分の中にもそういう思いが潜在的にあるのかもしれません。 そのように考えてしまう最大の理由はやはり、クラシックが(基本的には)書かれた音を再 [&#8230 […]