ミハイロフスキー劇場バレエ『眠りの森の美女』『パリの炎』

ユニークな『眠りの森の美女』とフランス革命を描くレアな傑作


 レニングラード国立バレエという名称で、数々の古典全幕バレエを日本で上演し、観客に愛されてきたミハイロフスキー・バレエ。『眠りの森の美女』といえばチャイコフスキー作曲の有名な古典バレエで、同バレエ団来日公演でも何度か上演されているが、今回披露するのは、スペイン出身の振付家で同バレエ団芸術監督ナチョ・ドゥアトのオリジナル。従来の物語の流れに沿いつつ、要所にコンテンポラリーな動きを散りばめている。美貌のペレン、スタイリッシュ美女ソボレワらのオーロラ姫、絵本から抜け出たようなレベデフやザイツェフの王子も楽しみ。さらに注目したいのは、悪の精カラボス役のルジマトフ。同バレエ団の芸術監督もつとめたロシア・バレエのレジェンドが、圧倒的な存在感で邪悪な美女を怪演する。

 『パリの炎』は、1932年初演のワイノーネン振付を元にメッセレルが改定、2013年に初演した。18世紀のフランスが舞台。退廃した貴族社会にマルセイユの民衆が命がけで立ち向かっていく。ドラマ展開はスリリング。ソ連時代のバレエらしくダイナミックな大技の見せ場がふんだんにあり、民衆たちのエネルギーが炸裂する群舞とともに、貴族たちの優雅な宮廷舞踊のシーンも堪能できる。ボリショイから移籍した実力派ヴォロンツォーワ、愛らしいテクニシャン、ボンダレワが村娘のジャンヌ役。義勇兵フィリップには、ザイツェフと話題のアメリカ人ダンサー、ジュリアン・マッケイ。
文:桜井多佳子
(ぶらあぼ2019年11月号より)

『パリの炎』
2019.11/21(木)15:30 19:30
『眠りの森の美女』
2019.11/23(土・祝)17:00、11/24(日)11:30 16:00
東京文化会館
問:光藍社チケットセンター050-3776-6184 
https://www.koransha.com/
※配役の詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。