指揮者の延原武春率いる日本を代表する室内管弦楽団・テレマン室内オーケストラが、創立55周年記念に東京で行ったライヴがリリースされた。「ブランデンブルク協奏曲」のどの曲においても、独奏、合奏、表現がいずれも練れて深みがあり、実に楽しい。第5番では、機動性に優れた高田泰治のチェンバロが華麗な音色で、浅井咲乃のヴァイオリンや森本英希のフルートと爽やかに絡む。長大なカデンツァも聴きものだ。第3番の特に終楽章は凄まじいスピードで疾走。まさに狂喜乱舞。第1番と第6番の緩徐楽章は、旋律と対位の声部の掛け合いが細やかに表情づけられてとても美しい。
文:横原千史
(ぶらあぼ2019年9月号より)
【information】
CD『J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲全曲/延原武春&テレマン室内オーケストラ』
J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲第1番〜第6番
延原武春(指揮)
テレマン室内オーケストラ
収録:2018年11月、東京文化会館(小)(ライヴ)
ナミ・レコード
WWCC-7901〜2(2枚組) ¥3000+税