ロシアの鬼才ボリス・エイフマン率いるエイフマン・バレエが21年ぶりに来日する。クラシック・バレエの技術を基礎にしながら、それをアクロバティックなほどの大胆な動きに新化させ、さらに身体の動きで人間の心の襞までも舞台上でつまびらかにするエイフマンの振付は、ロシア・バレエの伝統を継承しつつ、現代人の感性に訴える。名門バレエ団がひしめくバレエ芸術のメッカ、ロシアにおいて、エイフマン・バレエは常に注目の存在だ。
なかでも人気のレパートリーは、『ロダン〜魂を捧げた幻想』と『アンナ・カレーニナ』。その2作品が今回の日本公演の演目というのが嬉しい。『ロダン』は、近代彫刻の父オーギュスト・ロダンとその弟子でモデル、恋人でもあったカミーユ・クローデル、そして彼の内縁の妻ローズの関係を描く。ロダンやカミーユが「地獄の門」などを創作するシーンでは、エイフマンの秀逸なアイディアが光り、ダンサーの身体の美しさにもあらためて感服させられる。
トルストイの長編小説から、アンナとその恋人ヴロンスキー、彼女の夫カレーニンを抽出した『アンナ・カレーニナ』もまた、それぞれの人物の心の叫びが見る者の胸に直接響く。そして圧巻のラストへと展開していく。
日本公演は、湖畔のモダンなびわ湖ホールで『アンナ・カレーニナ』を、ロダン作品を常設する県立美術館がある静岡のグランシップで『ロダン』を上演。そして東京公演へと続く。待望の再来日。絶対に見逃せない。
文:桜井多佳子
(ぶらあぼ2019年7月号より)
『アンナ・カレーニナ』
2019.7/13(土)15:00 びわ湖ホール
2019.7/20(土)17:00、7/21(日)14:00 東京文化会館
『ロダン〜魂を捧げた幻想』
2019.7/15(月・祝)15:00 静岡/グランシップ(中)
2019.7/18(木)、7/19(金)各日19:00 東京文化会館
問:ジャパン・アーツぴあ0570-00-1212(東京)
びわ湖ホールチケットセンター077-523-7136(びわ湖)
グランシップチケットセンター054-289-9000(静岡)
https://www.japanarts.co.jp/eifman2019/