東京藝大の学生(現在は在京オケやフリーの奏者)によって2003年に結成された木管五重奏団のモーツァルト・アルバム。モーツァルトは木管五重奏曲を書いていないのだが、巧みな選曲と編曲によって温かさや愉悦感が表出され、彼が木管に合ったテイストをもつ作曲家たることを実感させる。中でも同アンサンブルが編曲したセレナード第12番は、五重奏のレパートリーに成り得ること間違いなしだ。演奏自体は、16年活動しているだけあって自然な呼吸感が光り、各楽器の対話やハーモニーの妙味が横溢。密度の濃い好演でモーツァルトの醍醐味を満喫させる。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2019年7月号より)
【Information】
CD『ファンタジー 木管五重奏によるモーツァルト作品集/アンサンブル・ミクスト』
モーツァルト:自動オルガンのための幻想曲 ヘ短調K.608、フランスの歌「ああ、お母さん聞いて」による12の変奏曲K.265、自動オルガンのためのアンダンテ へ長調K.616、セレナード第12番K.388
アンサンブル・ミクスト
【梶川真歩(フルート) 本多啓佑(オーボエ) 尾上昌弘(クラリネット) 嵯峨郁恵(ホルン) 中田小弥香(ファゴット)】
ナミ・レコード
WWCC-7897 ¥2500+税