江崎昌子はポーランドの作曲家の作品のスペシャリストとして活動の幅を広げ続けるピアニスト。輝きと豊かな響きに満ちた音色によって多くの作品を美しく彩り、自然かつ表情豊かなルバートは、作品の隠された魅力を引き出している。そんな彼女が今回リリースしたのはポーランドの知られざる作曲家、ザレンプスキ。彼の作品は先輩であるショパン、師であるリストの影響を受け、ポーランドの土の香りのする民俗色と共に華麗なピアニズムが光る。特に魅力的なのは印象的なタイトルの「バラと棘」。静と動のコントラスト、そして超絶技巧が駆使され、この作曲家の多面性が味わえる。
文:長井進之介
(ぶらあぼ2019年7月号より)
【Information】
SACD『ザレンプスキ:ピアノ作品集/江崎昌子』
ユリウシュ・ザレンプスキ:グランド・ポロネーズ、5つの即興曲「バラと棘」、ポーランド組曲、タランテラ、子守歌
江崎昌子(ピアノ)
オクタヴィア・レコード
OVCT-00162 ¥2500+税