【CD】Masters, Masterworks/小森邦彦

 録音もマリンバの運動性よりは奥深い鳴りに焦点を当てているからだろうか、第一印象は少し地味に感じた。が、師や作曲家、同僚との交流などを記したライナーノートを片手に聴き進めるうちに、作品をその技術的なタフさを感じさせず、最も美しい形で現前させたいという小森邦彦の思いが伝わってきた。例えば「ナイトラプソディ」は多数の声部を操る相当な難曲だが、完璧なテクニックで実に整然とまとめている。高い熱量で疾走する「タンガロア」も、固い撥で派手な効果を狙うのではなく、柔らかい音の粒立ちの連なり、豊かな残響の中から、なめらかな運動性と重厚感が二つながらに浮かび上がる。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2019年7月号より)

【Information】
CD『Masters, Masterworks/小森邦彦』

ドラックマン:水の反映/セリー:マリンバのためのラプソディ“ナイトラプソディ”/スタウト:セディメンタルストラクチャーズ/クラッツォゥ:ヴァイオリンとマリンバのためのソナタ/ファー:タンガロア

小森邦彦(マリンバ)
花田和加子(ヴァイオリン)

ナミ・レコード
WWCC-7896 ¥2500+税

  • La Valseの最新記事もチェック

    • ダヴィデ・ルチアーノ(バリトン)| いま聴いておきたい歌手たち 第12回 
      on 2020/01/17 at 03:20

      text:香原斗志(オペラ評論家) スターダムをのし上がりつつあるバリトンの大器 20世紀までは、バリトンなら彼だ、と太鼓判を押せる歌手がいつも、それも複数いたように思うが、ここしばらくの間、20世紀の生き残りであるような大御所を除くと、絶対的な指標になるようなバリトンがいなかったように思う。ダヴィデ・ルチアーノこそは、久々に現れた大器というべきだろう。 2017年8月、ペーザロのロッシーニ・オペ [&#8230 […]