【CD】ハイドン:ピアノ三重奏曲第27番、シューベルト:ピアノ三重奏曲第2番/葵トリオ

 昨年秋、最難関で知られるミュンヘン国際音楽コンクールで優勝を果たした葵トリオの、凱旋レコーディングが早くもリリースされた(曲もコンクールで演奏されたもの)。玉のような粒立ちをもったピアノの上で、ヴァイオリンとチェロが親密に交歓し、また華麗な協奏を繰り広げる。音楽の方向感が明瞭、構成もしっかりしており、各人が切れのよいテクニック、フレッシュな語り口を持ちながら、全体として落ち着いた格調高い音楽に仕上がっている。ハイドンでは快活さ、シューベルトでは豊かな歌心や色彩感の変化も楽しめる。若さに似合わぬ成熟ぶりにも驚かされた。頼もしいアンサンブルの出現だ。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2019年6月号より)

【Information】
CD『ハイドン:ピアノ三重奏曲第27番、シューベルト:ピアノ三重奏曲第2番/葵トリオ』

ハイドン:ピアノ三重奏曲第27番
シューベルト:同第2番

葵トリオ
【小川響子(ヴァイオリン) 伊東裕(チェロ) 秋元孝介(ピアノ)】

収録:2018年12月、サントリーホール ブルーローズ(ライヴ) 他
マイスター・ミュージック
MM-4055 ¥3000+税