アンドリュー・リットン(指揮) 東京都交響楽団

初夏を彩る、律動感とパワー漲るサウンド

 
 5月の東京都交響楽団定期演奏会Aシリーズには、アンドリュー・リットンが4年ぶりに登場する。ニューヨークに生まれ、イギリスのボーンマス交響楽団桂冠指揮者、ノルウェーのベルゲン・フィル桂冠音楽監督を務めるリットンだが、現在はニューヨーク・シティ・バレエ音楽監督の任にもある。コンサート、バレエ、オペラ、すべての分野で活躍する才人だ。プログラムは、バーバーの管弦楽のためのエッセイ第2番、プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番、チャイコフスキーの交響曲第4番という、アメリカ&ロシア音楽プロ。

 オーケストラ作品を「エッセイ」と名付けるのはバーバー独自の発想だろう。意味合いとしては、単一楽章ながら起承転結のある絶対音楽といったところか。単に演奏会用序曲とする以上の緊密な音のドラマを感じさせる作品だ。ブラス・セクションの荘重な響きが聴きもの。

 プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番では、ロシア出身のアンナ・ヴィニツカヤがソロを務める。ヴィニツカヤは2007年エリーザベト王妃国際音楽コンクールの優勝者。高度な技巧に支えられたスケールの大きな表現が期待できる。

 チャイコフスキーの交響曲第4番は名曲中の名曲。作曲者自らが記すように「運命の力」との戦いと克服が描かれる。リットンが都響から輝かしくパワフルなサウンドを引き出してくれるにちがいない。
文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2019年5月号より)

第878回 定期演奏会 Aシリーズ 
2019.5/28(火)19:00 東京文化会館
問:都響ガイド0570-056-057 
https://www.tmso.or.jp/