第10回 大阪国際室内楽コンクール & フェスタ2020 プレイベント

世界をリードする弦楽四重奏の響宴


 大阪国際室内楽コンクールに過去に入賞した5つのクァルテットの“里帰り公演”「世界をリードする弦楽四重奏の響宴」が、今年5月から来年4月にかけて、大阪のザ・フェニックスホールで開催される。

 2020年の第10回コンクールに向けてのプレ企画で、ルーマニア、日本、イギリス、チェコ、アメリカと多彩な国の弦楽四重奏が聴ける。同年のベートーヴェンの生誕250年にちなみ、それぞれ中・後期の弦楽四重奏曲から1曲をプログラムに入れる。

 トップを切って登場するのはルーマニアのアルカディア・クァルテット(第8回コンクール1位)。06年にゲオルゲ・ディマ音楽アカデミーの学生で結成された、新進気鋭の注目株だ。ハイドンの弦楽四重奏曲ニ長調「ラルゴ」、バルトーク(生地は現ルーマニア領)の第4番、ベートーヴェンの第10番「ハープ」を演奏する。

 続いては日本のクァルテット・エクセルシオ(第2回 2位)。1994年に結成、直後の入賞で脚光を浴びた。日本では数少ない常設の弦楽四重奏団として年間70公演以上を重ねている。2016年のドイツデビューは現地紙に「繊細優美な金銀細工のよう」と称賛された。プログラムはハイドンのニ長調op.71-2、ベートーヴェンの第9番「ラズモフスキー第3番」、シューマンの第1番。

 イギリスからはドーリック・クァルテット(第6回 1位)が来日。1998年に結成、ハイドンから現代の新作までレパートリーは広く、作品の背景を探求した演奏解釈が高い評価を得ている。大阪ではベートーヴェン晩年の大曲第13番を大フーガ付きで演奏する。ほかにハイドンの「ひばり」、メンデルスゾーンの第6番。

 来年2月に登場するチェコのベネヴィッツ・クァルテット(第5回 1位)は、チェコのヴァイオリンスクールの創設者アントニン・ベネヴィッツの名を冠して98年に結成。チェコ・フィルハーモニー室内楽協会のレジデンスなど故国に根ざした活動と海外での演奏の両輪で活躍している。曲目はスメタナの第2番、シューマンの第2番、ベートーヴェンの第15番。

 掉尾を飾るのはアメリカのアタッカ・クァルテット(第7回 1位)。2003年にジュリアード音楽院の学生で結成、同音楽院でジュリアード弦楽四重奏団のアシスタント、メトロポリタン美術館のレジデントなどアメリカのクァルテットの王道を行くキャリアを歩む。ヴァイオリンの一人は日本人の徳永慶子。ベートーヴェンの第14番、ハイドンのハ長調op.20-2と並べて、現代音楽の新たな潮流として注目の若手作曲家キャロライン・ショウの作品を弾く。
文:佐藤千晴
(ぶらあぼ2019年5月号より)

2019.5/23(木)19:00 アルカディア・クァルテット
7/27(土)15:00 クァルテット・エクセルシオ
11/3(日・祝)15:00 ドーリック・クァルテット
2020.2/20(木)19:00 ベネヴィッツ・クァルテット
4/11(土)15:00 アタッカ・クァルテット
あいおいニッセイ同和損保 ザ・フェニックスホール
問:ザ・フェニックスホールチケットセンター06-6363-7999  http://phoenixhall.jp/
  日本室内楽振興財団06-6947-2184 http://www.jcmf.or.jp/