飯野明日香(ピアノ) エラールの旅(全3回) 第1回 エラールの見たもの

銘器は人と時代を語りつぐ

 
 ピアノはとりわけ18、19世紀に大きな変遷を遂げた楽器だが、「ピリオド楽器」への関心が高まる現代では、各時期のピアノに対する眼差しも熱い。そんな中、飯野明日香が意欲的なコンサートシリーズを立ち上げる。福澤諭吉の孫・進太郎がパリで購入した1867年製のエラール社のピアノ(サントリーホール所蔵)を用いた3年3回シリーズ「エラールの旅」だ。

 飯野は近現代作品に意欲的に取り組む一方、パリ音楽院時代にフォルテピアノも専攻した鍵盤のエキスパート。第1回は「エラールの見たもの」と題し、前半は、楽器の製造時期から福澤の購入時期に近い作品を、サン=サーンス、フォーレ、プーランク、メシアンから選曲。後半は湯浅譲二、武満徹、一柳慧の作品からそれぞれ1950年代、80年代、2000年代の作品を選び、糀場富美子に委嘱した新作を初演。最後はドビュッシーの前奏曲集からの4曲で締めくくる。ピアノを巡る伝承の形が、飯野らしい視点で提示される楽しみな企画だ。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2019年5月号より)

2019.5/18(土)14:00 サントリーホール ブルーローズ(小)
問:オーパス・ワン042-313-3213
http://opus-one.jp/

  • La Valseの最新記事もチェック

    • アンナ・ネトレプコ(ソプラノ)| いま聴いておきたい歌手たち 第6回
      on 2019/08/15 at 22:30

      text:香原斗志(オペラ評論家) 実は、あまり好きではなかった 舞台にいるだけで強烈に発せられるオーラにおいて、いまアンナ・ネトレプコ以上の歌手はいない。実演は当然だが、ライブビューイングであっても、彼女が現れた瞬間に空気が変わるのが感じられるから不思議である。役に深く没入している証しでもあるし、彼女が発する声のすみずみまで、役が乗り移っているように感じられる。そうしたあれこれの相乗効果が、オー [&#8230 […]