小森邦彦 マリンバ リサイタル 2019 Masters, Masterworks 〜CD発売記念〜

エネルギー漲るマリンバの新しい魅力を録音とライヴで追求

 多くのマリンバ奏者が活躍する中、新作の委嘱や初演を重視して楽器の新しい可能性を探り続け、自らの音楽表現を常に開拓し続けてきた小森邦彦の存在は、マリンバを演奏する者、マリンバを愛する聴き手にとって大きな光明だろう。“木を叩く”というシンプルな演奏から生まれるピュアな音は、さまざまな事象を描写し、ときには一音で聴き手の内面にある能力を覚醒させるようなパワーを秘めている。後世に残すべき名作を集め、5月にリリースされるCD『Masters, Masterworks』(ナミ・レコード)も、そうしたエネルギーが胎動している音楽を収録した注目の一枚だ。
 水の表情や変容などを6つの小品で描き出していくようなジェイコブ・ドラックマン作曲の「水の反映」は、木と水という大自然からの贈りものが融合した音楽。小森自身が「マリンバに専念しようと決意した作品」だと述懐するジョン・セリー作曲の「ナイトラプソディ」は、演奏の難易度が高いゆえに挑戦的な作品であり(聴いているとバルトークのピアノ曲を想起させる)、小森自身も満を持して取り組んでいる。  
 この2曲を含むCD収録作品(抜粋)を、5月17日、東京のトッパンホールにて行われるリサイタルで披露。小森がリスペクトする作品群をまとめて聴きながら、マリンバという楽器の音・振動と存在感を体験してほしい。ライヴでは演奏時の流れるような動きなどを視覚的に味わえるため、音楽がより動的に感じられるだろう。
文:オヤマダアツシ
(ぶらあぼ2019年5月号より)

2019.5/17(金)19:00 トッパンホール
問:ミリオンコンサート協会03-3501-5638 
http://blog.livedoor.jp/komori_marimba/

 

CD『Masters, Masterworks』
ナミ・レコード
WWCC-7896
¥2500+税
5/25(土)発売