総勢80名を超える巨大サクソフォーン・アンサンブルによる5枚目のCD。クラシックの有名曲が主体で、CDタイトルの「テネブルの歌」のみオリジナル曲(独奏と12人の奏者のための作品)である。柔らかくも重層的なその響きは他に類のない感触。全体に聴き慣れた作品も新鮮な音楽として楽しめる。特にドビュッシーの「子供の領分」はオリジナルがピアノ曲だけあって、管弦楽もの以上に多彩な面白さが生み出されているし、「モルダウ」冒頭の細かな動きも妙味十分。「惑星」の迫力も目覚ましい。同楽器の愛好家と耳新たなサウンドを希求される方はご一聴を。
文:柴田克彦
(ぶらあぼ2019年4月号より)
【Information】
CD『テネブルの歌/昭和サクソフォーン・オーケストラ&神保佳祐』
J.シュトラウスⅡ:喜歌劇《こうもり》序曲/ドビュッシー:子供の領分/エスケシュ:テネブルの歌/スメタナ:モルダウ/ホルスト:組曲「惑星」より
昭和音楽大学 昭和サクソフォーン・オーケストラ 神保佳祐(サクソフォン) 大森義基 松原孝政 有村純親 榮村正吾 福本信太郎(以上指揮)
収録:2018年10月、テアトロ・ジーリオ・ショウワ(ライヴ) 他
マイスター・ミュージック
MM-4052 ¥3000+税