2016年の早すぎる死まで長きにわたり“知られざる”存在だった若林暢。17年リリースの国内初CDが高い評価を得るなど、注目を集める彼女の新たに発見された音源が登場。11年五反田でのフォーレのソナタも魅力だが、やはり1986年にヴィエニャフスキ国際ヴァイオリン・コンクールで2位に輝き、国際デビューを果たした直後にポーランドで収録されたマスネやショーソンの小品の流麗なる演奏が聴きどころ。その2年後にジュリアード音楽院ポールリサイタルホールで録られたショパンの「夜想曲」なども、若さに溢れながら音楽的なスケールの大きさに驚かされる。
文:東端哲也
(ぶらあぼ2019年2月号より)
【information】
CD『“魂のヴァイオリニスト”甦る若林暢』
マスネ:タイスの瞑想曲/ショーソン:詩曲/ヴィエニャフスキ:モスクワの思い出、グノーの「ファウスト」の主題による華麗なる幻想曲/ショパン(ミルシテイン編):夜想曲第20番/フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番
若林暢(ヴァイオリン)
タデウシュ・フミェレフスキ 鳥羽泰子 アルバート・ロト(以上ピアノ)
収録:2011年11月、五反田文化センター(ライヴ) 他
ソニー・ミュージックダイレクト
MHCC-30006 ¥2500+税