辻井伸行の新譜のメインは、アシュケナージ指揮、ベルリン・ドイツ交響楽団とのショパンの協奏曲第2番のライヴ録音(2017年5月、ベルリンのフィルハーモニー)。辻井とアシュケナージの相性の良さが互いの美質を高め合い、ソリストとオーケストラの音楽づくりのいたるところに音楽性の合致が感じられる。1楽章のエレガントなロマン性、2楽章の夢のような可憐さ、3楽章の物悲しくも華やかなフィナーレはいずれも、柔らかな音質をベースに、音楽的な勢いと広がりを聴かせる。3曲のノクターン(第1、2、20番)のスタジオ録音は一転して親密な空気を纏う。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2019年1月号より)
【information】
CD『ショパン:ピアノ協奏曲第2番、ノクターン/辻井伸行&アシュケナージ&ベルリン・ドイツ響』
ショパン:ショパン:ピアノ協奏曲第2番、ノクターン第1番・第2番・第20番「遺作」
辻井伸行(ピアノ)
ウラディーミル・アシュケナージ(指揮)
ベルリン・ドイツ交響楽団
収録:2017年5月、ベルリン(ライヴ)他
エイベックス・クラシックス
AVCL-25978 ¥3000+税