エドガー・アラン・ポーの怪奇と頽廃の美を音で描いたドビュッシー
ドビュッシーの演奏・研究で高い評価を受けてきた青柳いづみこが、1月11日にドビュッシーの未完のオペラ《アッシャー家の崩壊》の試補筆版上演を行う(コンサート形式、昼夜2公演)。同オペラはエドガー・アラン・ポーの小説に基づくが、2019年はポーの生誕210年に当たる。演奏会前半はドビュッシーの歌曲「ビリティスの歌」、交響詩「海」のカプレによる6手2台ピアノ版(日本初演)などが披露される。「海」の編曲版は青柳自らパリの図書館で入手した珍しい楽譜で、森下唯、田部井剛が加わる豪華な布陣だ。後半はオペラの補筆を担当した市川景之と青柳によるプレトークののち、4人の歌手と青柳、市川のピアノによって、禁断の愛、嫉妬、そして狂気といった19世紀末的な世界が鮮やかに甦る。ロデリックの松平敬、マデリーヌの盛田麻央、医者の根岸一郎、そして友人の森田学ら近現代音楽を得意とする歌手たちが、ドビュッシーの妖艶で神秘的世界を彩ってくれるだろう。
文:伊藤制子
(ぶらあぼ2019年1月号より)
2019.1/11(金)14:00 19:00 Hakuju Hall
問:東京コンサーツ03-3200-9755
http://www.tokyo-concerts.co.jp/