Hakuju Hall ワンダフルoneアワー フランソワ・デュモン(ピアノ)

20代でも“いぶし銀”の魅力

 誠実な音楽づくりとやわらかい色彩感をもつ音で、日本でもコアなピアノ好きを中心に高い評価を得ているフランスの若手ピアニスト、フランソワ・デュモン。ヨーロッパではすでに活躍中の彼によるソロリサイタルが、この10月、Hakuju Hall《ワンダフルoneアワー》でいよいよ実現する。4位に入賞した2009年浜松コンクール、5位に入賞した2010年ショパンコンクールのガラコンサート出演に続き、今回が3度目の来日となる。
プログラムはオール・ショパン。「舟歌」、「子守歌」、そしてピアノ・ソナタ第3番ほか、ショパンの晩年に近い作品を中心に取り上げる。特にソナタ第3番についてデュモンは、「しばしば輝かしい作品だと言われるけれど、自分はまったくそう思わない。強く傷つけられた人間の物語を感じる、悲劇的な作品」だと独自の解釈を語っていておもしろい。作品が持つ一味違った心情を見せてくれそう。落ち着いた風貌に似合って確固たる信念を持ち、27歳にして“いぶし銀”の演奏をするピアニストだ。

文:高坂はる香
(ぶらあぼ2013年8月号から)

★10月1日(火)15:00/19:30・Hakuju Hall
問:Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700 http://www.hakujuhall.jp

ローチケ Lコード37456