IIJによるベルリン・フィルのハイレゾ配信

ローベルト・ツィンマーマン(ベルリン・フィル・メディア取締役)&オラフ・マニンガー(ソロ・チェロ奏者/メディア代表)に聞く


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 現在、ベルリン・フィルほど先進的なメディア戦略を推し進めるオーケストラはないだろう。自ら子会社ベルリン・フィル・メディアを立ち上げ、定期演奏会の映像を「デジタル・コンサートホール」(DCH)によって全世界に向けてストリーミング配信している。すでにDCHにはこれまでの豊富な公演映像がアーカイブ化されているので、ご覧になったことのある方も多いと思う。
 一方、株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)は、日本で初めて商用インターネットサービスを開始した老舗企業で、IIJのストリーミングサービス「PrimeSeat」では、現在流通しているハイレゾ音源の中で最高音質のフォーマットで多くの人に音楽を届けている。IIJはベルリン・フィル・メディアからコンサート音源の提供を受け、「PrimeSeat」をとおして1シーズンに数公演をライヴ配信、1週間限定の聴き逃し配信を行っており、音楽ファン、オーディオ・ファン双方の注目を集めている。2018/19シーズンでは今後、2月にヤニック・ネゼ=セガン指揮、5月にヘルベルト・ブロムシュテット指揮の定期が配信予定だ。
 こういった配信サービスを可能にしているのが、ベルリン・フィルとIIJのストリーミング・パートナー契約。IIJが培ってきた配信技術が、より高品質の音を配信したいというベルリン・フィルの求めに合致することになったという。
「すでにDCHというプラットフォームを持っているベルリン・フィルにとって、IIJとの協業には大きな意味があります。IIJの鈴木幸一会長のような音楽への強い情熱を持った方がいらっしゃったことでパートナーシップが実現しました」(ベルリン・フィル・メディア取締役ローベルト・ツィンマーマン)
 現在、PrimeSeatでのベルリン・フィルの配信はDSD 11.2MHz、DSD 5.6MHz、PCM 96kHz/24bitの3種類の音質が用意されている。それぞれの再生には対応するUSB-DAC等のデバイスが必要だ。最上位のDSD 11.2MHzは音楽CDの16倍に及ぶ膨大な情報量を有するクォリティを持っているが、こういったハイレゾ配信の意義はどこにあるのだろうか。
「これは映像で比べてみると理解しやすいと思います。8Kのハイビジョン映像とスタンダード・ハイビジョンの映像を比べたとしましょう。スタンダードでも、そこになにが映されているかは理解できますよね。でもスペックが上がることにより、より細部が明確になり、色合いがよくなり、深みが出てくる。同じことがオーディオにも言えます」(ベルリン・フィル ソロ・チェロ奏者/メディア代表オラフ・マニンガー)
 DCHが開始された時点で、映像配信やハイレゾ配信がこれほど隆盛を誇ることになると想像した人は決して多くなかったはず。この分野にはまだまだ未来に向けて、さまざまな可能性が広がっている。
「IIJとの技術協力を通じて、サーバー設備などインフラストラクチャーがより充実したものになることを願っています。また、エンコーディングとデコーディングの技術は日進月歩。より小さな帯域で大量のデータを流せるように、一段と進化させたいと思っています。現状のDCHは映像配信サービスなので音声はAACという圧縮フォーマットを使っていますが、将来的にはDCHでもハイレゾで配信したいと考えています」(ツィンマーマン)
取材・文:飯尾洋一
(ぶらあぼ2019年1月号より)

PrimeSeat 
https://primeseat.net/

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