このグラナドス作品集がデビュー盤となる上野範子は、ソロのみならず室内楽奏者、教育者としても地道に活動を続けるピアニスト。マドリッドの粋な男女の姿を描いた「ゴイェスカス」全6曲は、ブリリアントな音色と、陰影を思わせる温かな響きとのコントラストが鮮やかで、細部まで行き届いた精彩な表現。「ゴイェスカス」への布石となった小品「ハカラ」「ゴヤ風のセレナータ」の録音は日本人初。明るくピアニスティックな「エル・ペレレ」、さまざまな曲の断片が散りばめられたオペラ版《ゴイェスカス》の「間奏曲」も収められ、聴き応えたっぷりの一枚。
文:飯田有抄
(ぶらあぼ2018年12月号より)
【information】
CD『グラナドス「ゴイェスカス:恋するマホとマハたち」 /上野範子』
グラナドス:ゴイェスカス 恋するマホとマハたち、エル・ペレレ、「ハカラ、歌と踊りのための舞曲」、ゴヤ風のセレナータ、間奏曲 オペラ《ゴイェスカス》より
上野範子(ピアノ)
ナミ・レコード
WWCC-7880 ¥2500+税