音楽する喜びを分かち合う熱い祭典
世界に広がるベネズエラの音楽教育プログラム“エル・システマ”傘下のシモン・ボリバル・ユース・オーケストラが、グスターボ・ドゥダメル指揮で来日したのは2008年。今年はちょうど10周年になる。「エル・システマ」は、無料で楽器を借りて習うことができ、オーケストラ活動にも無料で参加できる、ベネズエラ全土で展開される参加者40万人にもなる世界最大のオーケストラ教育プログラムだ。
東京芸術劇場ではこの12月、「エル・システマ・フェスティバル2018 ガラコンサート」が開かれる。第1部では福島県相馬市から始まったエル・システマ・ジャパンの子どもたち等による合同演奏。ドゥダメルが推薦する若き才能のエンルイス・モンテス・オリバーの指揮で相馬子どもオーケストラ、大槌子どもオーケストラ、駒ヶ根子どもオーケストラの合奏で、ヴィヴァルディの「四季」より「春」「冬」などを演奏する。第2部では、昨年結成された「東京ホワイトハンドコーラス」が登場。障害などの理由により発話が難しい子どもたちによる“手歌”の合唱団。白い手袋をして“歌う”ことから付けられた名称で、ベネズエラ国外では珍しい。そのベネズエラ「ホワイトハンドコーラス」の代表メンバーからなる「ララ・ソモス」も登場。昨年披露した名演を再び「イパネマの娘」などで耳にできる。エル・システマのモットー“合奏する喜び”や“合唱する喜び”を今年も聴けることだろう。
文:山田真一
(ぶらあぼ2018年11月号より)
2018.12/1(土)15:00 東京芸術劇場 コンサートホール
問:東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296
http://www.geigeki.jp/