鎌倉芸術館 開館25周年記念事業 アラン・ギルバート(指揮) NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団

勢いに乗るシェフと名門オケが聴かせるドイツ音楽の精髄

アラン・ギルバート
C)Chris Lee

ドイツ北部に位置する港町にして、同国第2の都市ハンブルク。ブラームスの生地としてもよく知られる同地を拠点とするオーケストラが、NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団である。1945年の創立以来、名だたる巨匠たちを首席指揮者に迎えてきた名門楽団で、度々の来日公演でも伝統の響きを聴かせてきた。
そして、彼らはこの11月にも来日し、文化の日には鎌倉芸術館の開館25周年を記念する公演に登場する。指揮は、来年9月に同団首席指揮者就任が決定しているアラン・ギルバート。8シーズンにわたりニューヨーク・フィル音楽監督を務めたことを筆頭に、世界中のトップオーケストラに登壇し続け、今年からは東京都交響楽団の首席客演指揮者を務めるなど我が国でも親しみ深い名指揮者だ。そんな彼らがこの日に披露する演目は、ワーグナー、マーラー、そしてブラームス。ドイツ音楽の精髄と言える名作が並んだ。殊に生地の誇りをもって奏でられるブラームスの交響曲第4番は、決定的な演奏となる期待が高まる。また、今回の鎌倉公演は、同団の日本公演としては特別に求めやすい価格設定がされていることも大きな魅力だ。
同団はハンブルク北ドイツ放送交響楽団の名前で長く愛されてきたが、2017年に新設されたエルプフィルハーモニーホールに拠点を移したことで、現在の名に改称した。積み重ねてきた伝統と、そこに安住せず新しい歴史を作りあげていく覚悟——日本有数の古都・鎌倉で聴く同団の響きは、深いところで共鳴し合う、格別な体験となるだろう。
文:林 昌英
(ぶらあぼ2018年11月号より)

2018.11/3(土・祝)14:00 鎌倉芸術館
問:鎌倉芸術館チケットセンター0120-1192-40
http://www.kamakura-arts.jp/