“アンディ”登場! ソロとアンサンブルで興奮の一夜を
オッテンザマーといえば有名なクラリネット一家。昨年惜しくも亡くなった父エルンスト、長男ダニエルはともにウィーン・フィル首席として、音楽の都のクラリネットの系譜をつないでいる。次男のアンドレアスは破格で、チェロからこの楽器に転向し、21歳にしてベルリン・フィル首席に就任。音楽の芯をしっかりと保ちつつ、自在な演出力で聴き手を魅了する抜群のセンスが、精悍でがっちりとした風貌と相まって、現在スター街道を爆走中だ。
来日機会も多いアンドレアスだが、トッパンホールでの12月1日のコンサートは、企画力で名を馳せる同館らしい興味深い一夜になりそうだ。ピアノはブエノスアイレス出身で、ソロだけでなくクレーメルやペレーニら超一流ソリストからも篤い信頼を得るホセ・ガヤルド。ここに日本ヴァイオリン界のライジング・スター郷古廉が加わる。 前半は没後100年のドビュッシーをそれぞれが演奏(クラリネットのための第1狂詩曲、ヴァイオリン・ソナタ)した後、プーランクの上質のウィットを効かせた小品集「城への招待」をトリオで。後半はブラームスの短い編曲ものを挟みつつ、バルトーク「ルーマニア民族舞曲」(ヴァイオリン)、ヴェイネル「2つの楽章」(クラリネット)と東欧の民族色を反映した作品を重ね、バルトークのトリオ「コントラスツ」で結ぶ。ベニー・グッドマンが委嘱したジャズのテイストも含む曲だけに、アンドレアスの変化球も楽しめそう。
初共演となるアンドレアスと郷古、若い才能が触発しあう化学反応は予測不可能。とはいえ通り一遍のものにはなるまい。
文:江藤光紀
(ぶらあぼ2018年11月号より)
2018.12/1(土)17:00 トッパンホール
問:トッパンホールチケットセンター03-5840-2222
http://www.toppanhall.com/